Aix-en-ProvenceでのWWOOF中、面白い出来事があった。到着して最初の三日間ほどウーファーは私一人だったが、途中から同い年のドイツ人の女の子がウーファーとしてやってきた。名前はフェリシア。着いて早々一緒にプールに入って、ここに来た経緯なんかを話した。彼女は今は夏休み中で、彼氏と南仏を旅行する前に一人でWWOOFをしにきたとのこと。笑顔が優しい知的な子である。
そんな彼女が来てからは食卓もより賑やかになり、一人では大変だった仕事も二人で分担したおかげで大分楽になった。何より、お互い勉強中の拙いフランス語でなんとか意思疎通していたことは今振り返ると結構すごいことなんじゃないかと思う。レベルが一緒くらいだったからフランス人と話すよりも逆に話しやすかったのもあるかもしれない。
彼女は結構な散歩好きで、フリータイムの午後は家の裏側から出て山の中を散策していたりした。その散歩から帰ってきた彼女がワクワクした顔で私を呼んでいる。「面白いものを見つけたからついて来て!」私はなんだなんだと思いながら彼女の後ろをついていく。そこはいつも水をやっている菜園の奥にある小さな裏庭みたいなところで、私は初めて来た。「これなんだか分かる?」彼女は聞く。私は思わず噴き出してしまった。立派なグリーンが生えていた。私たちは見てはいけないものを見た子供たちのように興奮した。色んな憶測をした。まさかあの穏やかなシェラがこんなのを育てているなんて、、
その夜、食卓がたわいのない話で温まってきた時に、私たちは「ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いいかな」とシェラに改まった感じで切り出した。「今日庭を散策している時に裏庭で面白いものを見つけたんだけど、あれってあれだよね?笑」こんな感じの質問だったと思うけど、あの当時にそんな遠回しなフランス語表現ができたのかは怪しい。ともかく、シェラはすぐに理解して、含み笑いをしながら「あーあれね、トマトだよ。」私たちは笑った。そのあとシェラは、ことの経緯を話してくれた。彼女の息子が昔ここに住んでいた時、シェラに内緒で何本か栽培していたらしい。それに気づいた彼女は最初見つけた時は激怒したが、変なところで買って捕まるよりはマシかと思い、結局そのままにしたらしい。一度は彼女の友人がそれを見つけてこれは何かと尋ねたそう。「これはトマトの仲間よ」そう言って誤魔化せたらしい。確かに、あれの形を知らない人ならトマトで通せるのかもしれない。
シェラがこういう話にオープンな人で良かった。もしあれが密売用で本当に隠していたものなら、、、
結局、そのあとの食卓はあれの合法非合法の話で持ちきりになって、なかなかに盛り上がったのだけれど。
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