フリーターになった先輩

2024年3月17日、日曜日。最近は毎朝散歩をしていて、この日も太陽に向かって伸びをして、半分眠ったまま15分くらい近所を歩いた。午後は久しぶりにギターの練習をした。指が短いのでギターには向いていないが、届かないコードは思い切って諦めると意外とそれっぽく弾けて、楽しいからいい。これはおれが全部のコードをしっかりやろうとして全然通して弾けなくて悶々としている時に兄に、「もっと楽しそうに弾いたら?プロじゃないんだから」と言われて、そりゃそうだと思って変えた方式である。実際彼は弾けないコードは捨ててそれっぽく色んな曲を弾くのが上手い。彼にはそういうそれっぽくやるセンスがある。それはギターだけでなく、なんでもモノマネが上手い。おれにはないセンスだ。

3時半くらいになってバイトに出かける。今日の賄いはガーリックライス。パスタを想像して昼はご飯にしていたのだが、まあパスタパスタと続くよりはご飯ご飯のほうがおれ的には良い。食べ終わり、いつも通りなべ君という一個上の先輩と仕事前の一服に行く。この時間が結構好きだ。「気持ちいい!」と彼は言った。ほんとに、春の訪れを感じる心地良い天気である。

この日はあまり忙しくなく、おれもなべ君も早上がりしたから、なべ君に誘われて一緒に飲みに行こうということになった。まだ空いていてさらにたばこも吸える居酒屋がなかなかなく、30分弱歩いてようやくありつけた。彼とサシ飲みはなんだかんだ初めてだ。「とうとう卒業しちゃいましたね」おれがそう言うと、「ついにフリーターになっちまったよ笑」

彼もおれと同様に留年して、そのあと留学もして、就活はしないままとうとう5年で大学を卒業した。まったく、このままおれが就活しないで卒業すれば完全に同じである。

酒を飲みながらおれの北海道旅の話や就活を押し付ける日本の生きづらさなんかについて話して、楽しかった。二人とも今は何もないが、楽しく自由に生きていくイメージだけは捨てていない。おれはこの人が好きだ。かっこよくて優しい人だが、どこか抜けていて、アホっぽい感じが兄に似ているからかもしれない。うんまと言いながら食うし楽しそうに呑むし、たばこもバコバコ吸っちゃう感じも似ている。

おれも一年後ちゃんと卒業できれば彼と同じ正式なフリーターである。とりあえず、学生証を返還する前にいっぱい映画を観に行こうと思った。

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